シンポジウム

若手の会企画シンポジウム(英語による講演*)

11月23日(金)(大会1日目)10:00-12:00
Conference Hall

「集団の中の個の意思決定」

オーガナイザー:玉井 湧太(同志社大学),寺尾 勘太(東北大学),河野 大輝(東京大学),野崎 友成(京都大学),松井 大(慶応義塾大学)

趣旨・内容:
 ヒトを含む社会性動物の行動は,他の個体との相互作用の中で形成される。「群れ」とは同じ種が集団を形成している状態の事で,集団に属する個体は,天敵への警戒を強め,捕食のリスクを低減させるなどの利益を享受することができる。なかでも洗練された「群れ」においては,集団全体が一つの意志を持っているかのような秩序的な振る舞いを示すことが知られており,多くの研究者の興味を惹きつけてきた。秩序的な集団行動の創発に際して,集団の中の個体はどのように外界の情報を認知し,自身の行動を決定しているのだろうか。
 本シンポジウムでは,魚類,鳥類,霊長類,両生類,昆虫類などの様々な分類群を対象に「群れ」に関する認知や意志決定メカニズムに関する研究を紹介する。これらの発表を通じて,「群れ」の情報処理・行動ルールについて,それぞれの動物が示す多様な生活史を踏まえたうえで概観する。これをもとに,群れ行動における個体の認識機構や意思決定様式の一般性と多様性について議論したい。

スピーカー(敬称略):

  • 合原 一究(筑波大学)
    「カエルの合唱に潜む時空間構造とその役割」
  • 兎田 幸司(早稲田大学)
    「比較認知神経科学の挑戦」
  • 堀田 祟(京都大学)
    「顔は魚にとっても特別か?」
  • 土畑 重人(京都大学)
    「群ロボットを用いた社会性昆虫の自己組織化システムの理解」

* 講演は英語で行いますが,質疑応答や総合討論では英語と日本語を併用します。

大会企画シンポジウム**(日本語による講演)

11月24日(土)(大会2日目)15:50-17:50
Conference Hall

「生物共生の光と影」

コンビーナー:佐倉 緑(神戸大学),神川 龍馬(京都大学)

趣旨・内容:
 生き物は単独では生きていけない。さまざまな生物が他の生物と共生関係を保ちつつ生きている。時には自身の内部に共生体を有し,お互いになくてはならない存在となっている。また時には,周囲の生物とゆるやかな共生関係を保ちつつ,お互いに「持ちつ持たれつ」の関係を維持している。生物共生とは,異質な存在が共に生きているということである。そこからは,それぞれの生物のみでは成しえない新しい機能が生まれることがあるし,また反対にそれぞれの生物は,それぞれが妥協し変化を強いられるという大きな犠牲を払っていることもある。そのような共生のメリットやデメリットをてんびんにかけた結果が,現在見られるさまざまな生物の共生関係と言ってもいいだろう。本シンポジウムでは,ともすれば利点についてのみ多くを語られがちな生物共生の「影」の部分にも焦点を当てて,生物共生が実際はいくつかのデメリットを抱えたトレードオフの結果であることも示したい。

スピーカー(敬称略):

  • 佐藤 拓哉(神戸大学)
    「寄生生物ハリガネムシが紡ぎだす森と川の生態系」
  • 北條 賢(関西学院大学)
    「アリ−シジミチョウ共生系における利害の対立と駆け引き」
  • 大塚 攻(広島大学)
    「海洋プランクトン群集における共生を栄養関係から考える」
  • 高橋 俊一(基礎生物学研究所)
    「サンゴに共生する褐虫藻:動から静への変化がもたらすもの」

** 本シンポジウムは日本共生生物学会との共催として行います。

公募シンポジウム(英語による講演***)

11月25日(日)(大会3日目)10:00-12:00
Conference Hall

「運動におけるリズムとタイミング制御の比較生理学」

オーガナイザー:山脇 兆史(九州大学),安藤 規泰(東京大学)

趣旨・内容:
 動物の行動は,多数の筋肉の協調的活動によって成り立つ。歩行、飛翔、遊泳などにおける運動リズムの生成機構は神経回路レベルで明らかになりつつあるが,状況に応じてリズムを調節する機構に関しては不明な点が多い。リーチング(腕の到達運動)などの目標志向型運動においても,目標に応じて適切なタイミングで筋収縮や筋弛緩を引き起こす仕組みに関して,未解明の問題が多くある。
 運動は神経活動によって一元的に決まるわけではない。身体の最終的な運動は,筋活動だけでなく骨格系の特性に影響される。身体の動きは環境に働きかけ,環境の変化が感覚フィードバックを通じて神経活動に影響を与える。そのため,神経回路だけでなく,身体と環境の相互作用を含めた実装デザインとして運動系を捉えることが重要である。
 本シンポジウムでは,魚類,昆虫類,甲殻類における運動リズムやタイミングの調節機構をニューロン,筋,外骨格のレベルで解析した研究を紹介する。それらの研究を「身体運動の時間的制御」という視点で比較することで,その基本原理や種特異性に関して議論を試みる。

スピーカー(敬称略):

  • 並木 重宏(東京大学)
    「下行性神経細胞群によるはばたきの制御」
  • 木村 有希子(基礎生物学研究所)
    「脊髄抑制性ニューロンによる遊泳運動の速度調節と速度依存的活動ニューロン群の切り替え制御」
  • 山脇 兆史(九州大学)
    「カマキリ捕獲行動における前肢運動タイミングの制御」
  • 加賀谷 勝史(京都大学)
    「外骨格身体ばねの圧縮・伸展制御」

パネリスト(敬称略):

  • 中川 秀樹(九州工業大学)

*** 講演は英語で行いますが,質疑応答や総合討論では英語と日本語を併用します。