視覚への依存度は低いものの視覚も機能しており、視覚学習が可能である。罰と同時に異なる図形や図形パターンなどの視覚手がかりを提示し、罰のない視覚手がかりを選別できる。図のような、高温にした床の一部だけが低温の実験アリーナ(床の高温部と低温部は視覚的には区別できない)にゴキブリを置くと、ゴキブリはアリーナ内を走り回り、偶然低温の床を発見するとその場所で静止する(Mizunami et al., 1998)。アリーナの壁に視覚的手がかり(図形)を配置し、事前に低温の床の正面の図形を提示すればゴキブリは図形の手がかりを利用して低温の床に素早く到着できることを示した。この実験は、ゴキブリが視覚を利用した行動をすることを示しただけでなく、ゴキブリが視覚手がかりを学習し、記憶することができることを示している。(岡田龍一)
参考文献:
Mizunami M, Weibrecht JM, Strausfeld NJ (1998) Mushroom bodies of the cockroach: their participation in place memory. J Comp Neurol 402: 520-537.
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