標準脳形状モデル(脳白地図)

脳のサイズ、脳の形状、組織の位置関係は個体ごとにわずかに異なっていることから、異なる個体から得られた組織情報を比較,統合していくには、脳のサイズ,形状の違いを補正し標準化した、平均的な脳形状を持つ標準脳(脳白地図)が有効となります。

① まず、脳の境界やモジュール構造が鮮明に撮影された共焦点連続画像を基準となる「テンプレート画像」とします。このテンプレート画像に対して各サンプル脳画像の位置合わせを行います。

② 位置合わせの基準は、脳の外部構造や脳内の組織構造物(モジュール構造など)のランドマーク(基準点)とします。ランドマークとしては,明確に観察できるモジュール構造(ニューロパイル)である中心体の中央点、常糸球体の中央点、キノコ体傘部の中央点などを使用します。

③ これらのランドマークを基準として脳全体の位置合わせとサイズ調節によって、脳の平均形状を求めるための変換(剛体変換(Rigid Transform))を行います。この変換によって、異なる個体から得られた脳画像のランドマークがなるべく近い場所に来るように、画像座標点の位置、角度が変更され、サンプルとテンプレートの脳画像がかなり重なり合うようになるはずです。こうした2つの脳画像の位置合わせを複数の脳画像について実施し、平均の脳画像を作成します。

④ ①から③の過程で作られた平均の脳画像に対して、ある一定のレベル以上を脳内、それ以下を背景として分離した後、2値化脳画像を作成し、画像面だけでなく深さ方向を含めた3次元での平滑化をおこなうことで、平均脳形状画像を得ることができます。この平均脳形状画像にプラグイン(IntSeg_3D.jar)が提供する機能Create Surfaceを適用することで,図8-11のように3次元像として表示することができます。また、3Dプリンタを使用すれば脳モデルを模型として出力することもできます。

 

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